家族の一員として一緒に時間を過ごしてきたペット。そんなペットが死んでしまったとき、どんな葬儀をおこなえばいいのでしょうか。
一般的には火葬が知られているかと思いますが、この記事では土葬にフォーカスし、ペットをお庭に埋葬するときに知っておきたいポイントについて紹介します。大切なペットに安眠してもらうためにも、土葬の方法を知り、土葬の際に気をつけておきたいポイントを押さえておきましょう。
ペットは土葬できる?埋葬は敷地内or霊園(墓地)
そもそも、ペットを埋葬するときに「土葬」するなんて発想はなかった方もいらっしゃるかもしれません。しかしなかには、動物は最後、土に帰るのが自然という考えから土葬を望む考えもあるようです。しかし、現在では住宅環境などの問題から土葬が選ばれることは減少傾向にあります。
ペットを土葬するためには、近隣への配慮や衛生面の確保といった条件をクリアすることが必要です。例えば、ペットを土葬する場合、法律上の規制が適応されます。
廃棄物処理法
自治体で回収されたペットの遺体は、一般ゴミとして処理されることになっています。自治体のなかには斎場にペット専用の焼却炉を備えて、合同で火葬し慰霊碑に花を手向けることができるところもあります。
あまり知りたくはない話ですが、行政に依頼し回収された動物の死体は、一般的には千四炉で焼却した後、焼却灰を一般廃棄物として処分場に埋められます。言うなれば、ペットの遺体は一般廃棄物として処理されるということです。
公園や河川敷等、また山の中等、他人の土地に死体を埋めた場合
公園や他人の土地などに動物の死体を埋めてしまった場合、例えそれが大切なペットであっても、大きさや種類関係なく、法律違反となってしまいます。廃棄物の処理及び清掃に関する法律5条の規定に反し、「公共の利益に反してみだりにごみ、鳥獣の死体その他の汚物または廃物を棄てた者」として軽犯罪法違反(同法1条27号)により処罰されます。
また、河川や山林に埋めた場合でも、廃棄物の不法投棄とみなされ、廃棄物処理法により罰せられます。海に投棄した場合は、同法律施行令により禁じられています。
家の敷地内に土葬する場合
ペットの遺体を庭などの私有地へ埋葬することは問題ありません。
まずは、死体を埋めても問題ない場所なのかどうかの見極めが重要です。ただし、公衆衛生上の問題で土に還る過程で発生する臭いや地下水への汚染などを考慮すると、法律に抵触することも考えられます。また、腐敗臭が漏れないよう深い穴を掘る、丁寧に土をかぶせるなど近隣への配慮を徹底しなければなりません。
例えばリスやハムスターなどの小動物であれば埋葬は簡単かもしれませんが、大型犬などは骨が折れると思います。それでもどうしても自宅の庭に埋葬したいという場合は、火葬してから埋葬することが望ましいでしょう。この場合は、遺骨を骨壷から出して埋葬しますが、大型犬などの大きなペットは火葬の際に残る遺骨も多いため、粉骨して埋葬してあげましょう。
自宅の敷地内で土葬するのは難しいが、どうしても土葬で埋葬したいといった際は、土葬や埋葬が可能な霊園や墓地を利用するとよいでしょう。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。
ペット土葬時に必要なもの【タオル・シャベルなど】
ペットの埋葬をおこなう場合、以下のようなものがあると便利です。
- 綿や麻100%のタオル
- シャベル
- 軍手
- 手向け用の花束
- 墓標用の板
基本的には「あれば便利だな」と思うものを用意しておけば充分ですが、安らかに眠ってもらうためにはいくつか気をつけておくべきポイントがあります。
ペットを土葬するときの方法とポイント
ペットを安全に土葬するためには、土葬を丁寧におこなわなければいけません。以下の点に気をつけて、ペットを丁寧に埋葬してあげましょう。
穴を深く掘る
動物の死体は、時間が経ってくると腐敗が進み独特の臭いが漂うようになってきます。埋める場所が浅ければ、下手をすると臭いを嗅ぎつけてやってきたカラスや野良犬などに掘り返されてしまうかもしれません。遺体に湧いた虫が地表に露出することも考えられます。最低でも1メートルほど掘り、余裕を持って埋葬しましょう。
布を敷く
ポリエステルなどの化学繊維は土に還りにくいため、遺体をくるむときは木綿や絹など自然素材100%のタオルを使います。また、タオルをビニール袋に入れたり、化学繊維製のシートに包み込んだりするのもよくありません。これらは土に還りにくいだけでなく、湿気をなかに閉じ込めてしまうおそれがあるためです。
さらに土に還り切らず、土のなかに残ってしまうと土壌汚染にもつながってしまうため、できるだけ土に侵食されやすいものを選びましょう。
埋め戻す土は高く盛り上げる
土はこんもりと盛り上げるように埋め戻します。時間が経つと土は下へ下へと下がるからです。埋めるときに土を固めながら埋めても問題はありませんが、後で土が減っていってしまうため、凹みを作らないためにもあらかじめ余分に土を盛っておきましょう。掘った後は墓標に名前を書いて立ててあげるとよいかもしれません。
※対応エリア・加盟店・現場状況により、事前にお客様にご確認したうえで調査・見積りに費用をいただく場合がございます。
土葬するときの注意点|石灰があると便利
ペットを土葬する準備は整いましたが、知っておくべき注意点が3つあります。
ペットを土葬しても、すぐには土に還らない
条件がうまくそろえば、土のなかでミイラ化し、キレイな姿のまま長い時間残ることもあります。土葬された遺体は、数十年かけて土へと還っていくため、その間周りの土をいじることは厳禁とされています。
土地は譲渡や売却で他人の手に渡る可能性があります。新しく土地に移り住んできた方が、思わずその場所を掘り返してしまうことも考えられます。将来に家庭菜園や増築工事で掘り返すことがないとも限らないため、土葬の場合はそういったリスクがあることを知っておきましょう。
火葬してから土葬する手段も
方法の一つとして、火葬してからお骨を埋葬するやり方もあります。埋葬後、野生動物に掘り返されるおそれもなく、周辺環境への侵害もないため、土地の新しい所有者に遺体を掘り返されるといったリスクも抑えることができます。ただし火葬の分の費用はかかってしまうため、予算やご自身のライフスタイルなどと合わせて考えるとよいでしょう。
石灰を利用する
有機物の分解をうながす効果を持つ石灰を利用する方法もあります。石灰には殺菌効果もあるため、遺体の腐敗進行による有害物質の発生を抑える効果も期待できます。石灰はホームセンターなどでも手軽に入手することができます。家庭菜園や園芸用品としても利用できるため、土葬した遺体の栄養分で木や作物を育てる場合にも用いることができるでしょう。
また、ペットを土葬する際に気をつけるべきポイントです。ペットの安眠のためにもセルフチェックをおこなってみましょう。
- 辺の水場や畑などに汚染の心配はないかを確認
- 埋葬場所に配管や基礎がないかを確認
- 水はけの悪いところや風雨に浸食されやすい場所は避ける
- 自宅敷地内に埋める
- 埋葬可能な大きさの犬や猫ならば1m~2mの深さに埋める
まとめ
家族の一員として長い時間を一緒に過ごしてきたペット。その葬儀方法としての一つとして土葬をご紹介しました。小さな動物であれば土葬することも可能ですが、埋葬は埋めて終わりではありません。土に還るまで十数年という長い時間を要します。その間ペットが土のなかにいると思うと、時間と共にペットとの思い出を思い返すこともできるでしょう。
しかし、ペットを埋葬するにはいろいろな問題も発生します。その時は、リスクや手間などを考えたうえで、ペットが安眠できるよりよい環境でお見送りしてあげましょう。